第44章

午後、堀川純平の授業で、野口雅子は彼と対立するのも面倒になっていた。心の狭いあの男に目をつけられるのも避けたかったからだ。彼女は片手に本を抱え、もう片方の手にはハーゲンダッツを持って、おとなしく教室へ向かっていた。

考え事に夢中になりすぎて、校内チャイムが鳴ってからもずいぶん経っているのに、彼女はまだのんびりと楓林の小道を歩いていた。

グラウンドを通りかかった時、彼女は最短距離で横断し、教室へ直行しようと決めた。

ポケットの携帯電話が一度震えた。取り出してみると、クラスのグループに原田明からのメッセージだった。

「雅子ちゃん、今どこ?堀川純平の授業、もう三分遅刻してるよ」

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