第57章

 「わかっている」彼は簡潔に返した。

 「……」野口雅子は一瞬固まり、頬が少し熱くなった。

 堀川純平はさらに一言付け加えた。

 「これからは良くなる」彼は自分が彼女を変えられると確信していた。

 この問題で今は争わないことにして、彼女は身を乗り出し、真剣に言った。

 「そんな大きな商売を私に任せたら、半年、いや、たぶん三ヶ月もしないうちに『経営』破綻させちゃうわよ!」

 男も少し前のめりになり、低く磁性のある声が彼女の耳元で響いた。

 「そんなことはない。君はただお金を数えていればいい。あとのことは何も気にしなくていい」

 法人変更すれば、当然大株主も彼女になる。

 「…...

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