第58章

「え?何?」

野口雅子は足を止め、振り返って彼を疑わしげに見つめた。

「人影が見えた気がしたんだ。目の錯覚かもね!」

「……」彼女は唇を引き締めながら登り続け、暗い廊下を携帯電話の明かりで照らした。

「最近映画を見たんだけど、男が恋敵をバラバラにして冷蔵庫やベッドの下、クローゼットに隠すって話で……」

「堀川純平!」

女性はほとんど悲鳴に近い声で彼を遮った。

男は思わず笑みを漏らした。

「はいはい、どうしたの?」

野口雅子は歯を食いしばった。この意地悪な男め。

「次はドリアン食べさせないからね!」

「ああ……」彼は階段を上がった。

彼の関心は...

ログインして続きを読む