第102章 菅野詩音を救う

鳴瀬正樹は眉を上げ、少し意外そうに彼を見た。

「へえ。あの神谷社長が、誰かに悪かったなんて思うこともあるんだな。ってことは……今回はお前にとって、よっぽど特別ってわけか」

神谷承吾は否定しなかった。ただ無言で、もう一口グラスを傾ける。

その目の奥では、言葉にしきれない感情が静かに渦巻いていた。

特別――か。

たぶん、そうなのだろう。

二人は取り留めのない話をぽつぽつと続け、気づけば1本のウイスキーはあっという間に空になっていた。

神谷承吾はもともと酒に強い。

だが今日は胸の内に抱えたものが重すぎたのか、数杯飲んだだけで頬にうっすら赤みが差していた。もっとも、目の底に沈んだ疲労...

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