第121章 救いようがない

神谷理恵は、息子のその救いようのない執着を見た瞬間、視界がふっと暗くなった。こめかみの痛みが、さらに強くなる。

どうして自分は、こんなにも物事の道理が分からない息子を育ててしまったのか。

――手遅れだ。

「予知夢? ただの酔っぱらいの戯言でしょ。酒で脳みそでも溶けたの?」

神谷理恵は冷えきった目で言い放ち、容赦なく幻想を叩き割る。

「夢の中がどれだけ綺麗でも、現実じゃない。それに、彩夏ちゃんのお父さんは何年も前に亡くなってる。今さら持ち出して、彩夏ちゃんを傷つけたいの?」

神谷承吾の顔色が、さっと青白くなる。だがすぐに首を突っぱねた。

「それは事故だっただけだ! 夢の中じゃ、俺...

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