第124章 一人も見逃さない

「全部、田村先生のおかげです。先生が導いてくださらなかったら、私、この賞は取れませんでした」

須藤彩夏は差し出された水のグラスを受け取り、照れくさそうに笑った。

「お礼を言うなら、征士さんに言いなさいよ」

田村先生は眉をひょいと上げ、からかうような調子で続ける。

「コンテストの枠だって、彼が取ってきたんでしょう。それに、デザインに使ったメレダイヤも……藤原グループのを回してもらったんじゃないの?」

「私、あの子が小さい頃から見てきたけどね。女の子にあそこまで気を回す征士さん、初めて見たわ」

須藤彩夏の顔が、ぱっと熱を帯びた。慌てて手を振り、言い訳みたいに言葉を重ねる。

「田村先...

ログインして続きを読む