第125章 手を出す

須藤彩夏は清水青子の格闘技ジムを出ると、タクシーで神谷家へ戻った。

玄関の大扉を押し開けた途端、リビングから聞き慣れた声が飛んでくる。

清美だ。

「お姉ちゃん!」

須藤清美は彩夏の姿を見つけるなり、ぱっと目を輝かせて駆け寄り、そのまま勢いよく胸に飛び込んだ。

「お姉ちゃん! 会いたかった! 社畜ならぬ『学畜』の高校生、管理が厳しすぎてさ、全然連絡できなかったの。もう忘れられたかと思ったんだよ!」

須藤彩夏の身体が、一瞬だけ強張る。けれどすぐに、ゆっくりと腕を回して、抱きしめ返した。

よかった。清美はちゃんとここにいる。こうして甘えて抱きついてくる。――前の人生みたいに、病室のベ...

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