第127章 断った

須藤彩夏の指先が、わずかに止まった。

このカードが、どれほどの価値を持つのか。彼女は痛いほど分かっている。

小嶋秀明先生は理系の名物講師だ。数え切れないほどの難関大合格者を送り出してきた。

なかでも受験に特化した年間クラスは、枠が取れないことで有名で、半年前から動いても間に合わないことすらある。

彩夏も以前、何人もの伝手を辿った。けれど手に入ったのは「補欠」の枠だけ。体験すらさせてもらえなかった。

須藤清美の理系は、ずっと弱点だ。

このカードは――まさに干天の慈雨。

……ただし、その「親切」が、菅野家の姉妹から差し出されたものである限り。

無害そうな顔をして、腹の底にどれだけ...

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