第14章 お願いだから許してくれ

神谷彩夏は床に伏せたまま、頬がひりつくほど熱く痛み、耳の奥でぶんぶんと鳴っていた。口の中には鉄の味――血の生臭さが満ちている。

神谷承吾の声が聞こえた瞬間、彼女は必死に顔を上げた。菅野詩音を壊れ物みたいに庇い、丁寧に気遣う神谷承吾。その光景を見た途端、神谷彩夏は喉の奥で、低く笑った。

「……お仕置き?」

口端の血を手の甲で拭い、壁に手をついて、ふらふらと立ち上がる。

頭はぐらぐらするのに、背筋だけは折れまいと、無理やり真っすぐに伸ばした。

「私にどうしてほしいの? あなたたちを見た瞬間、怖くて震えながらひれ伏して、靴の先に口づけでもすれば満足?」

荒い息を吐きながら、声は痛みと怒...

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