第140章 消えた!

菅野美雪は菅野雅子に「しっかり休むのよ」と念を押してから、バッグを手に病室を出ていった。

扉が閉まった瞬間だった。

菅野詩音の顔に浮かんでいた罪悪感も涙も、跡形もなく消え失せる。

詩音は手を引っ込め、椅子を引き寄せてベッド脇に腰を下ろした。目を閉じたままの雅子を見下ろし、鼻で笑う。

「はいはい。もういいから。人、帰ったよ? 誰に見せてんの」

菅野雅子のまつげが、かすかに震えた。けれど目は開かず、言葉も返さない。

「なに、黙り? お母さんに言われたのが刺さった?」

詩音は眉をつり上げ、悪意を隠そうともしない。

「前から言ってるでしょ。この家で、あんたみたいな薬漬けの病人、誰も好...

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