第21章 恨んで何の役に立つ?

「奥様」

鳴瀬正樹はベッド脇の椅子に腰を下ろし、穏やかな声で言った。

「今のご自分の状態、あなたが一番わかっているはずです。もともと重い栄養失調があるのに、ここで食べないとなれば、傷も治りません。そうなれば合併症のリスクだって上がる」

「運命の理不尽に抵抗したいのかもしれません。でも、それじゃあなたが損をするだけだ。これから何をするにしても、まずは支えになる身体が必要です」

神谷彩夏は天井を見つめたまま、返事をしない。

鳴瀬も急かさず、淡々と続ける。

「胸の中に憎しみが山ほどあるのはわかります。でも、今あなたが痛めつけているのは自分自身だけだ。神谷承吾はそれで心を動かしたりしない...

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