第26章 彼女の胸を踏む

その日、神谷承吾は会議の真っ最中だった。スーツの内ポケットで、スマホがぶるぶると震える。

無視するつもりで一度切った。だが、間を置かずにまた鳴った。

眉をひそめ、手で「中断」の合図を出す。席を立つと会議室の外、廊下へ出て通話を取った。

「神谷様、大変です!」

受話口から、主治医の切迫した声が飛び込んでくる。

「腎臓を提供すると申し出ていた志願者が……今朝、病室で自殺しているのが見つかりまして!」

「……何だと?」

神谷承吾の瞳孔がきゅっと縮む。スマホを握る指に、力が入りすぎて白くなる。

「自殺? どういうことだ。ずっと医療スタッフが見ていたはずだろ」

「詳しい原因はまだ……...

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