第31章 脅威

鳴瀬正樹のその一言が、神谷承吾の身体をびくりと震わせた。まるで死体が突然まぶたを開き、魂が刹那に戻ってきたみたいに。

神谷承吾は信じられないという顔で鳴瀬正樹を見た。今のは聞き間違いじゃないのか。そう確かめるように。

鳴瀬正樹は小さく頷く。

神谷承吾は今にも力が抜け落ちそうだった。口を開きかけ、喉仏が何度も大きく上下するのに、声が出ない。

鳴瀬正樹は血の滲んだ手袋を外しながら、淡々と告げた。

「今、内線が入った。菅野さんの移植はまだ続いてるけど、経過は悪くない。ひとまず安心していい」

「ただ、奥様は……三途の川から無理やり引きずり戻したような状態だ。腎摘出に術中の大量出血。これか...

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