第35章 激怒

藤本吉彦の声には、得意げな嘲りが混じっていた。

「社長も腹の内はお見通しのようですし……これ以上は申し上げません」

「神谷社長。城東の案件、吉報をお待ちしております」

通話が切れ、ツー、ツーという虚しい音だけが残る。

神谷承吾は受話器をゆっくり置いた。手の甲に浮き上がっていた血管は次第に落ち着いていくのに、表情は先ほどよりも深く陰っている。

小嶋健は脇で息を殺し、身じろぎひとつできなかった。

さっきのやり取りは、聞こえないふりなどできるはずもない。

「社長の身近な人間」――菅野さん以外に、誰がいる。

もし菅野さんが炙り出されたら、自分は――。

そこまで考えただけで、小嶋健の...

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