第43章 彼は彼女を傷つける方法を知っている

神谷彩夏は思った。自分は中身を抜かれた人形みたいに、神谷承吾の気分ひとつで弄ばれているのだ、と。

彼が欲を吐き出し終えれば、あとは適当に放り捨てられるだけ。

承吾は事が済むと煙草に火をつけ、ベッドに寄りかかって一服した。煙がゆらゆらと漂い、表情は読み取れない。見えるのは、冷たく硬い顎の線だけ。

「……こんなことして、また私を妊娠させるつもり?」

神谷彩夏がふいに言うと、神谷承吾の動きが止まった。わずかに意外そうな顔で彼女を見て、それから鼻で笑う。

「お前に、その資格があると思ってんのか?」

彩夏が返さないのを見ると、承吾はさらに続けた。

「仮に腹に入ったところで、お前に守れるわ...

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