第49章 別れ

その瞬間、神谷彩夏には自分の鼓動が聞こえそうだった。

駆け寄って、妹を抱き締めたい。けれど両足は地面に釘づけにされたみたいに、まったく動かない。

「清美……」呼びかけた途端、声が喉で詰まった。「清美、もう大丈夫なの? ……痛くない? まだ、痛むの?」

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。私は平気」須藤清美はにこっと笑い、目を細めて三日月みたいにした。「お姉ちゃん、私ね、すごく遠いところへ行くの。だから、お別れを言いに来たの」

「行くって……どこへ?」神谷彩夏は顔色を失い、必死で前へ出ようとする。川の水は浅いはずなのに、どうしても渡れない。

――この光景。覚えがある。

「行かないで! 清美、...

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