第56章 誘い騙す

小嶋健は膝から崩れ落ち、絶望のまま目を閉じた。

一週間後、判決が下る。

業務上横領、贈収賄、違法な株価操作――いずれも被害額は莫大。懲役五年、ならびに個人資産の全没収。

十年かけた積み上げが、一夜にして灰になった。

ほどなくして銀行に家を差し押さえられ、小嶋健は行き場を失う。最後には路上の浮浪者の一人へと転がり落ちた。

神谷承吾はすべて片をつけると、再び氷室へ戻った。

神谷彩夏は相変わらず静かに横たわっている。全身には薄い霜の花がびっしりとまとわりついていた。

彼は手を伸ばし、彼女の頬をそっと撫でる。身を屈め、唇に軽く口づけた。

「お前の仇は、全部探し出した。お前を踏みにじっ...

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