第57章 これは私たち全員が払う代償だ!

助手席に乗り込み、シートベルトを締める。まるで、ようやく飴玉をもらえた子どもみたいに――信じられないほどおとなしかった。

神谷承吾がエンジンをかける。

車はマンションの敷地を抜け、灯りのともり始めた街を滑るように走った。

菅野詩音は窓の外を眺めながら、胸の奥に刺さっていた不安が、別の感情に塗り替えられていくのを感じていた。

――彼の家へ向かう道だ。

全身が浮き立ち、思わず声が弾む。

「承吾、わ、私たち……家に帰るの?」

神谷承吾は前を見たまま、短く「うん」とだけ答えた。

菅野詩音の鼓動が、耳の奥でどくどくと響く。

夢にまで見た場所。須藤彩夏が二年間も住み、自分はたまに「お邪...

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