第64章 彩夏お姉さんが心配です

言い終えると、須藤彩夏はそのまま階段を上り、自分の部屋へ向かった。

ぼやけていく背中を見送りながら、神谷承吾は眉間に深い皺を刻む。

いつから、ああなった?

今日、自分が菅野詩音に甘くしたからか。

だが今日は菅野雅子の誕生日で、顔を立てただけだ――。

……違う。

須藤彩夏の様子がおかしいのは、今夜からじゃない。

あの夜からだ。

危うく罠にはめられかけた、あの夜から。

でも、なぜだ?

あれは須藤彩夏が悪かったんじゃないのか。

自分はもう不問にした。なのに、今さらこんな態度を取る理由がどこにある?

とはいえ彩夏は部屋へ引っ込んでしまった。追いかけて問い詰めるのも大人気ない。...

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