第71章 手遅れの愛ほど無価値なものはない

舞曲が、ちょうどその瞬間に終わった。

次の一拍で、宴会場は針が落ちる音さえ聞こえそうな静けさに沈む。

曲が終わった直後はもともとざわめきも薄い。そこへ、怒りを抑えきれない神谷承吾の声が遠慮なく響き、彼らが立つ場所は一気に視線の的になった。

「婚約者? 承吾、須藤彩夏があなたの婚約者なわけないでしょ。嘘よね? ねえ、嘘だって言って」

菅野詩音が追いすがる。まさか正面から、こんな一撃を食らうとは思ってもみなかった。

承吾の手を掴もうと伸ばすが、彼はするりと身をかわす。

詩音は縋る先を失い、須藤彩夏の顔を見た。そこに何か――嘘でも動揺でも――綻びが出ていないか確かめたかった。

だが、...

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