第80章 姉が身を売って栄達を求める

その一方で――。

午前中、須藤彩夏のところで思いきり鼻をへし折られた菅野詩音は、一日じゅう胸の中がむしゃくしゃして仕方なかった。

どうして須藤彩夏が、急にあんなふうになったのか。

それがどうしてもわからない。

前はあんなに慎重だった。少しでも何か間違えれば、承吾の機嫌を損ねるんじゃないかとびくびくしていたくせに。

いったい何を企んでいるのか。

菅野詩音には見当もつかなかった。ただ、須藤彩夏がああいう態度に出る以上、何か裏があるに決まっている――そう思えた。

しかも、その理由はきっと神谷承吾に関係している。

けれど、もう須藤彩夏本人に正面からぶつかるのは危険だ。

今のあの女は...

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