第88章 ゆすりをたくらんでいるのではないか

その言葉を言い切ると、菅野詩音は隣に立つ神谷承吾をちらりと見た。

彼の顔色は沈みきっている。――自分と同じく腹を立てているのだ、と詩音は勝手に受け取り、抑えきれない笑みが口元に浮かぶ。

「別にいいわ。好きに言えば」須藤彩夏は気にも留めない様子で言った。「あなたのご高説も、ぜひ聞かせてもらいたいし」

「彩夏お姉さん、否定しないんだ? その人が彼氏だって!」

詩音はわざとらしく身を乗り出す。

「じゃあ本当に、この人と……付き合ってるってこと?」

須藤彩夏は詩音を見て、薄く笑った。嘲りだけが目に宿る。

「頭の中が下世話な妄想でいっぱいの人に否定したところで、どうせ汚い泥を投げてくるで...

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