第97章 本当に事件が起きた

10日――陽射しは申し分なく、どこまでも明るかった。

潮の匂いをたっぷり含んだ海風が、埠頭をやわらかく撫でていく。

神谷承吾のクルーズパーティーは、目を見張るほどの豪華さで彩られていた。着飾った招待客たちはグラスを片手に、あちこちで優雅に談笑している。

須藤彩夏は今日の行動に備え、動きやすさを優先したドレスを選んでいた。

それに加え、監視の死角になりそうな場所には、あらかじめ超小型カメラを仕込んである。

乗船して間もなく、彼女は神谷思遠の姿を見つけた。

4歳の男の子。青いサロペット姿で、手にはウルトラマンの人形。甲板の端にある手すりを、興味津々といった様子で見つめている。

この...

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