第12章 誤解される

 

増田梅を強引に片づけたあと、江口初姫は夜の商談の段取りに入った。

今夜の相手は、彼女が朝一番で約束を取りつけていた協力先だ。会社を自分の手で握ると決めたその日から、初姫はずっと「自分の影響力」を積み上げている。

提携先を増やし、株主連中の脅しから一刻も早く抜け出す。今の彼女にとって、それが最優先事項だった。

当夜。個室で待つこと三十分。相手はようやく、のこのこと現れた。

江口初姫は苛立ちを微塵も見せず、すっと立ち上がって出迎える。

「木下社長はお忙しい方ですもの。ようやくおいでくださって安心しました。急なご用件でも入ったのかと、少し心配しておりました」

木下社長は腹の出た体を...

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