第13章 二日酔い

 

江口初姫がふいに距離を詰めてきた。ふわりと甘い香り――それに濃い酒気が重なって、くらりとする。

周防宴久の身体が、ぴしりと固まる。あまりにも突然の接近だった。反射的に突き放すことすらできず、初動が遅れた。

酔っぱらいの江口初姫はお構いなしだ。

休みたいのに相手がうるさい、という顔をして、周防宴久の襟元を掴んだまま、ぐいぐいと寄ってくる。呂律の回らない声でぶつぶつ文句まで言い出した。

「私、寝たいだけなのに……なんでそんなにうるさいの。もう……車、乗せてあげるからさ」

唇が、周防宴久の鼻筋に触れそうなほど近い。吐息が絡み合う距離。

「……なんか、硬い……」

江口初姫は小さくぼ...

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