第146章 魅力は彼女に及ばない

江口初姫はその場から一歩も動かず、数歩の距離を保ったまま声をかけた。

「……何の話?」

川瀬千茉は、初姫の警戒など気にも留めない。いま勝っているのは自分で、追い出されたのは相手――その優越感が、表情の端々に滲んでいた。

「私のこと、怖いんでしょ。どうして?」

江口初姫は鼻で笑う。どこをどう見たらそんな結論になるのか、理解できない。

「私が? あなたを? 冗談もほどほどにして」

川瀬千茉は得意げに口角を上げた。

「だって私、あなたに勝ったから。悔しいんでしょ」

そのとき、スマホがぶるっと震えた。運転手からの連絡――渋滞で数分遅れるらしい。

なら、少しだけ付き合ってやってもいい...

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