第148章 ただのミス

江口初姫は思わず本音を口にしてしまい、我に返るなり周防宴久の反応をうかがった。軽薄な印象を残してしまったんじゃないか――そんな不安が胸をよぎる。

周防宴久はコーヒーを飲む仕草で、つり上がりそうになる口元をさりげなく隠した。周囲に小さな変化を悟られたくない。表情は凪いだままなのに、胸の内は荒波のように騒いでいる。

互いに胸の内を抱えたまま、言葉は途切れた。やがてカップの底が見える。

江口初姫はやけにノリよく言った。

「こんなに早く飲み干すなんて……周防社長、もう許してくれたって合図ですか?」

周防宴久はカップを置き、淡々と返す。

「コーヒー一杯で俺を買収できると思った?」

「もち...

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