第149章 争い

案の定、この件で来たか。音無家が絡む話となれば、匂いを嗅ぎつけて飛んでくる。

江口初姫は心底無実だと言わんばかりに肩をすくめた。

「婚約は私のものよ。私が解消して何が悪いの?」

増田梅は、手に入るはずだった金が指の間からこぼれ落ちていくのを目の当たりにして、怒りで顔を真っ赤にした。

「音無家ほどの良縁がどこにあるの! 嫁ぎさえすれば上流の暮らしが約束されてるのよ。何が不満なの、ほんとに罰当たり!」

江口初姫は薄く笑うだけで、心が揺れた気配すらない。

「私はあなたの娘とは違う。自力で『いい暮らし』くらいできるわ。私の縁談に、あなたが口を出す必要なんてない」

増田梅は「自分勝手」だ...

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