第16章 彼の過ち

 

婚約破棄してからというもの、音無真は三日に一度は江口初姫の会社にちょっかいを出してきた。

以前ならまだしも、今の江口初姫はまさに多事の秋だ。

社内はまだ固まりきっていない。そんな状況で、音無真みたいな露骨な妨害を見て見ぬふりなんてできるはずもない。

苛立ちを抑えきれず、江口初姫は吐き捨てた。

「音無真、いったい何がしたいの!」

佐川蘭が冷静に言う。

「一度、会って話をされたほうがよろしいかと。最近、株主たちの間で江総への不満が強まっています。音無家と不仲だという噂が大きくなれば、株価にも影響が出ます」

江口初姫は眉を寄せ、手をひらりと振って佐川蘭を下がらせた。

会ったとこ...

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