第35章 周防宴久は彼女を信じ始める

江口初姫が連絡を取った私立探偵は、以前――周防宴久の行方を探るために知り合った連中だった。

仕事は早い。だから、そのまま付き合いを続けてきた。

まさか、こんなに早く、また頼ることになるとは思わなかったが。

電話がつながるなり、向こうは半ば面白がるように言った。

「今回は誰を調べるんだ?」

江口初姫はわずかに表情を固める。胸の奥で迷いが渦を巻いた。自分の推測に、確信があるわけじゃない。

ただ――音無爺様が突然倒れたのは、どうにも不自然だった。

ここ最近、音無家の商いは安定していた。家の中で大事が起きた様子もない。音無爺様自身も、倒れる前に異変を見せてはいなかった。

何より。

...

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