第39章 江口初姫は心変わりした

江口初姫は、周防宴久の淡々として節度ある顔つきには見慣れていた。

だからこそ、今この男が玄関の外で、落ち着き払って自分をからかっているのを見て、いっそ仕事中みたいな冷たい顔のままでいてくれたらいいのに、と本気で思う。

初姫は軽く咳払いし、平静を装って言った。

「周防社長、助けていただいてありがとうございます。こんな時間に……どうして、そんなに早く来られたんですか」

「江口社長がそこまで取り乱す出来事って、何なのか気になった。今回会わなかったら、もう二度と機会がない気もしてね」

たぶんもう休むつもりだったのだろう。彼は日中のきちんとしたスーツではなく、ラフな私服姿だった。

きっちり...

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