第44章 彼の条件を一つ受け入れる

川瀬千茉は、一晩かけた筋書きが水泡に帰ったのがどうしても許せなかった。

自分のせいで音無真に大金を失わせた挙げ句、江口初姫に大勢の前で指摘され、恥までかかされたのだ。

せっかく――ようやく――江口初姫にこのドレスを着せるところまで漕ぎつけたのに。今夜は当然、利息込みで取り立てるつもりだった。

なのに、江口初姫の肩に羽織られていたのは、周防宴久の上着。

それを見た瞬間、川瀬千茉の腹の底で何かが弾けた。顔には甘ったるい笑みを貼り付けたまま、江口初姫の衣服を引き剥がそうと手を伸ばす。

「江口さん、上着は外したほうが――」

指先が触れそうになった、その刹那。

横合いから伸びた長い指が、...

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