第57章 ばれる

同じ頃――江口初姫は江口家を出ると、その足でバーへ向かった。

あの家に、もう何の期待もしていない。だから去るとき胸に残ったのは失望ではなく、ようやく檻を抜け出したような息のしやすさだけだった。

今日、ひとまず溜飲を下げたように見えても、連中がこれで終わるはずがない。――前世と同じだ。

前世の自分は甘かった。家族仲が最悪でも、江口の当主も豊田麗華も年上なのだから、とどこかで「いつかは分かり合える」と信じてしまった。

当主とは距離があるくせに、豊田麗華には愛想を振りまき、せめて普通の家庭の温もり――「よしよし」と頭を撫でてもらえるような関係を欲しがった。

けれど豊田麗華は、そんな初姫を...

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