第7章 あなたのことは知っている、江口さん

 

翌朝、江口初姫は驚くほど晴れやかな顔で目を覚ました。

一晩じゅう、最高の夢を見ていたのだ。周防家とつながり、協力関係を築いて足場を固め、柳川家を正しい道へ導いていく――そんな未来。

起き上がる瞬間でさえ、口元が緩む。頬に艶、目に光。まるで昨日までの疲れなど嘘みたいに、全身が生き生きとしていた。

周防宴久と握手を交わし、肩を並べて仕事を進める自分。成功者然とした姿で、音無真など軽々と置き去りにしていた。

周防家の掌権人と深く組める夢――それが吉兆でないはずがない。

だが、その明るさが、音無真の神経を容赦なく逆撫でした。

彼はほとんど眠れぬまま夜を越え、江口初姫が後悔して縋ってく...

ログインして続きを読む