第75章 それなら警察を呼べ

江口初姫は、荒々しく息を吐き切ってようやく、胸の奥にへばりついていた恐怖が影を潜めた。

代わりに湧き上がってきたのは、川瀬千茉への、天を衝くほどの怒りだ。

殺気をまとったまま川瀬千茉の目の前に立つ。全身びしょ濡れで、泥だらけで、みっともないはずなのに――なぜか川瀬千茉のほうが一段低く見えた。

川瀬千茉は殴られた衝撃で頭が真っ白になったのか、呆然とその場に立ち尽くし、しばらく反応すらできない。

十数秒の沈黙のあと、彼女は突然、甲高い悲鳴を上げた。

「――きゃあああっ! あんた、頭おかしいの!? 何してんのよ! 江口初姫、狂ったの!?」

遅れて涙がどっと溢れ出す。潤んだ目を見開き、頬...

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