第79章 反目

曲が終わりへ向かうにつれ、江口初姫と目の前の男は、示し合わせたみたいに歩みを落とした。

最後を飾るのは、伸びやかで昂ぶるヴァイオリンの旋律。二人はフロアの中央で締めのステップを踏み、鮮やかな静止――その瞬間、音楽がぷつりと途切れた。

同時に足を止め、仮面越しに互いの視線だけが深く絡む。

羨望の眼差しが、幾重にも二人へ降り注いだ。

ぱち、ぱち、ぱち……。

会場に自然と拍手が広がり、いつまでも鳴りやまない。

そして曲が終わると、薄暗かったダンスフロアに再びきらめく照明が灯り、次の儀式――仮面を外す時間が訪れた。

江口初姫は指先をわずかに動かし、空をなぞるように男の仮面へ触れる。なぜ...

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