第101章

しばらくして、広瀬有香は案の定ついてきた。

顔色は最悪で、目には露骨な怨嗟。私を刺すように睨みつけてくる。

私は終始相手にせず、会議を回して案件の概要を把握し、入札に向けたコア方針をひとまず形にした。

野崎がその案を引き取り、確認するように言う。

「資料、俺のところに置きます? それとも――」

広瀬有香がぱっと顔を上げる。視線はこっちに向けないくせに、耳だけはやけに真剣だ。

私は口元をわずかに吊り上げた。

「午後、ちょっと外に出るから。資料は私のデスクに置いといて」

そう言い残し、会議室を出て法務部へ向かった。

用事を済ませて戻ると――案の定、机の上のファイルは消えていた。...

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