第110章

不意打ちだった。林原武美に、思いきり頬を張られる。

じん、と痺れるような痛み。視界がぐらりと暗く揺れた。

二秒ほど呼吸を整えてから顔を上げ、目の前の怒り狂った女を見据える。

林原武美は私を指さし、唾を飛ばす勢いで罵った。

「広瀬妃菜、この恩知らず! 有香はあんたの妹でしょう! 会社から追い出すなんて、独り占めして跡取りになるつもり!?」

「いい? 広瀬家の本物のお嬢様は有香だけ! あんたが後継者になるなんて、永遠にあり得ない!」

「たかが一件、運よくプロジェクトを取ったくらいで、広瀬家を思い通りにできると思った? 寝言は寝て言いなさい!」

言葉が、鈍器みたいに叩きつけられる。悪...

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