第119章

目を覚ました瞬間、いちばん先に胃のむかつきを感じた。

窓の外から射し込む陽光が、掛け布団までぽかぽかと温めている。

瞼を上げると、ベッド脇の椅子に広瀬正国が座っていた。手には書類の束。

俯いて丹念に目を通し、眉間にはうっすら皺。厄介な案件でも抱えているみたいだった。

「……お父さん?」

声を出した途端、喉がかすれて自分でも驚く。

広瀬正国はすぐに書類を置き、立ち上がって私の顔色を覗き込んだ。

心配がそのまま表情になっている。

「妃菜、起きたか? 具合はどうだ、まだつらいか? 医者を呼ぶか?」

額に手を当てて熱を確かめる動きは、どこか不器用だった。

私は一瞬、言葉を失った。...

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