第124章

原崎野矢視点

 俺は広瀬妃菜の唇を貪る。舌先に広がるのは、何度も覚えたあの味。離せない。離したくない。

 ――ぷつり。

 下唇に走った痛みと同時に、鉄の匂いが口いっぱいに滲んだ。

 俺ははっと我に返る。ほぼ同時に、広瀬妃菜が力任せに俺を突き放した。

 目尻は赤く、唇は腫れている。怒りに濡れた瞳が、まっすぐ俺を射抜く。

 それでも、なお――壊したい衝動が喉の奥で蠢いた。

 広瀬妃菜は、摘まれるのを待つ艶やかな薔薇みたいだ。

「原崎野矢、このクソ野郎!」

 息が上がり、頬まで真っ赤にして、広瀬妃菜は噛みつくように言った。

「私を何だと思ってるの? こんなやり方で辱めて、楽しい...

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