第126章

原崎グループを出たあとも、唇は腫れて痺れたままだった。

私は指先でそっと口元をなぞり、車に乗り込む。ハンドルを握りしめ、乱れた呼吸をひとつずつ整えた。

――この件の損失は、もう取り返しがつかない。

なら、早く戻って別の提携を取りに行くしかない。広瀬グループの穴を埋めるだけの成果を、今すぐ積み上げる。

でないと株主たちは「この女は最後まで責任を負えない」と判断する。そんな評価だけは、絶対に避けたかった。

そのとき、沈村加也からメッセージが届いた。

「カフェで待ってる。急ぎ」

沈村加也がこんな言い方をするのは珍しい。本当に何かあったときだけだ。

私は気持ちを切り替え、できる限りの...

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