第130章

原崎野矢に詰め寄られて、私は適当な理由をでっち上げて、その場をやり過ごすしかなかった。

「彼女は……昔、私を助けてくれたの。恩人なの」

原崎野矢が目を細める。信じていない顔だ。

「助けた、だと?」

「そう」

背中を壁にぴたりとつけたまま、原崎野矢の手を押しのける。できるだけ平静を装い、声も表情も崩さない。

「今、答えました。原崎様、これで帰していただけますよね?」

原崎野矢はしばらく黙り込み、やがて一歩退くと、振り返りもせずに去っていった。

姿が見えなくなった瞬間、私はソファに崩れ落ちた。はぁ、はぁ、と大きく息を吸うのに、胸がうまく膨らまない。

野崎が慌てて駆け寄り、私の肩...

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