第16章

広瀬正国は箸を置き、視線にわずかな迷いを滲ませた。

その揺らぎを、私は見逃さない。すかさず先に口を開く。

「お父さん。配信の視聴者って、すぐに憶測で騒ぎを作るじゃない? 妹はいま評判が良くないし、発表会に出たら誰かに悪意ある誘導をされかねない。新商品のプロモーションにはマイナスだと思うの」

「もともと広瀬家はここ最近、騒ぎが続いてるんだし……余計な火種は増やさないほうがいいよ」

すると林原武美が、私の言葉を遮るように即座に反論した。

「そんなことないわ。外に向けて姉妹仲の良さを見せられれば、もう揉めない。妃菜、妹に汚名返上のチャンスをあげなさい」

偽善の仮面みたいなその顔を見て、...

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