第27章

広瀬妃菜視点

原崎野矢は、振り返りもせずに行ってしまった。

休憩室にひとり立ち尽くしているのに、胸の内だけがすうっと空っぽになる。

どうして彼は、また急にあんなふうに不機嫌になるんだろう。

私が――好きだと、正面から認める勇気がなかったから?

けれど原崎野矢は、私のことが好きだなんて一度も言っていない。もう一度やり直したいとも、そばにいたいとも。

私が告白したところで、彼が金原亜沙美と野球をしに行くという事実は変わらない。

生まれ変わってからの私は、足元を固めながら一歩ずつ進んできた。仇を計算して追い込み、会社の権力を揺らがせないように抑え込んで。

なのに、原崎野矢を前にする...

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