第34章

広瀬妃菜視点

車内は、息が詰まるほど静かだった。

原崎野矢は瞬きもせず、真っすぐに私を見据えている。

分かっている。私が用意した薬の「説明」は、どう考えても穴だらけだ。

「隠し事なんてしてない。本当に、心臓に効く薬の処方を人づてに探しただけなの」

声が少しだけ上ずりそうになるのを、喉の奥で押し殺す。無理やり笑みを作って、広瀬正国の名を盾にした。

「信じられないなら……今度、お父さんに聞いてもいいよ。少し前、養生の処方を調べてたのは知ってるから」

言っている私自身が、いちばん信じていない。

広瀬正国が、そんな細かいことまで知るはずがない。

原崎野矢は何も言わない。ただ、瞳の色...

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