第35章

広瀬有香が勢いよく振り返った。私を見た瞬間、まるで幽霊にでも遭遇したみたいに目を見開き、唾をこくりと飲み込む。

「お姉ちゃん……あ、あなた、どうしてここに……」

腕を組んだまま、私は冷ややかに返した。

「私が今どこにいるかまで、あなたに報告しなきゃいけないの?」

広瀬有香は引きつった笑みを浮かべ、目の前の田村成川をちらりと見た。落ち着かない手つきで、居場所がないみたいに視線を泳がせる。

「ううん、そういう意味じゃなくて……ただ、こんな遅い時間に、お姉ちゃんまで来てるなんて思わなくて」

「田村成川の両親から電話があったから来ただけ。むしろ、あなたは――」

一歩詰め、彼女の目をまっ...

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