第36章

広瀬妃菜視点

病院を出たあと、私は家に帰らなかった。

社内の電源系統はすでに復旧していて、修理業者が到着したのは、原崎野矢の助手がひと通り片づけ終えた頃――まるで帳尻合わせみたいな遅さだった。

点検の結果、停電は事故じゃない。人の手で弄られた痕跡が残っていた。

――やっぱり。

田村成川は腹を決めたんだろう。私を会社に閉じ込めて、一晩付き合わせるつもりで。

私は眉間を指で揉み、残っていた仕事を片づけると、執務室奥の休憩スペースでそのまま横になった。

翌朝5時。まだ眠りの底にいる私に、広瀬正国から電話が入った。

声色が、いつもより固い。

「妃菜。最近、会社が重要な医療プロジェク...

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