第42章

外の冷たい風に煽られた瞬間、ようやく目の下がひんやりしていることに気づいた。

いつの間にか、涙が一粒こぼれていた。

胃の奥の灼けるような痛みが、じわじわ強くなる。

足元がぐらついて、立っているのもやっとだった。

「広瀬妃菜お姉さん?」

驚いた声が、すぐ隣で弾ける。

霞む視界のまま顔を上げると、佐藤雅人が車から降りてくるところだった。遊びに来た、そんな軽い雰囲気なのに――私を見た瞬間、表情が一気に強張る。

彼は早足で寄ってきて、私の腕を支えた。

「どうしたんすか。なんでこんなに飲んでるんです?」

私は首を振り、必死に平静を装って訊いた。

「偶然だね。あなたも飲みに来たの?」...

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