第44章

広瀬妃菜視点

胃の奥がじりじり灼けるみたいに痛くて、喉もきゅうっと乾いていた。

ぼんやり目を開ける。視界はまだ霞んでいて、ベッド脇に見慣れた背の高い影が座っているのだけが分かった。

薄暗い照明を背にして、輪郭ははっきりしない。

……夢?

夢の中でしか、原崎野矢はこんなふうに黙って私のそばにいてくれない。そうやって、ずっと付き添ってくれるはずがない。

乾いた唇をかすかに動かして、拗ねた声を漏らす。

「……偽物。原崎野矢が、こんなに優しいわけない……」

言い終える前に、温かい大きな手が、布団の外に出ていた私の手をつかんだ。少し強引に、手を布団の中へ押し戻される。

なのに、その手...

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