第56章

広瀬妃菜視点

会社に着いたのに、どうにも落ち着かなかった。

頭の中で、原崎野矢が昨夜口にした一言が、何度も何度もリピートする。

「ちゃんと考えろ。どう責任取るつもりだ」

深呼吸を何度かして、ようやく腹を括る。スマホを握り、原崎野矢のプライベート番号へ発信した。

彼に連絡するのは――仕事じゃない用件では、たぶん初めてだ。

コールは二回で切れた。

受話口から、少し気だるげな声。

「……もしもし」

「私」声がわずかに強張る。咳払いしてから続けた。「今日、何時に上がる? ……その、終わったら、会いに行ってもいい?」

向こうが、二秒ほど黙る。

そして、ふっと低く笑った。

「いい...

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